2009年8月21日金曜日

アンモニアによる着色 その1


アフロモシアをアンモニアにて着色してみました。

アンモニアによる着色法は木材の中に含まれるタンニンとアンモニアを結合させて着色する手法です。
やり方は密閉した空間に着色したい木材とアンモニア水を入れ、放置するだけ。アンモニア水からはアンモニアガスが発生し、木材の表面、内部にまで浸透し、木材が黒っぽくなります。

ナラを着色(灰緑がかった色)するのにいつも使う技法なのですが、アフロモシアでテストしてみたら大成功。
写真は素地とテストピース(着色後)で、テストピースの角を削ってみたところ、中の方までしっかり着色されていました。この色だと申し分(もうしぶん)ないです。
中まで着色するには1日程度置く必要があります。

この着色方法は木材に含まれるタンニンの量によってその結果が変わりますので注意が必要です。

2009年8月19日水曜日

鍵盤の化粧 木口


鍵盤の木口にアフロモシアの挽き板を張り付けました。
木口の挽き板は上面に貼るものと同じ繊維方向にしています。上面を張ってから木口をツラ(同一面)にしようと思っているので見た目がなじむと思いました。クランプしたほうがよかったのですが数が大量になく、適当なものがなかったのでボンドを塗って手で圧着しました。

「木口」に対して「木端」という言葉がありますが、意味を入れ違えて覚えていました。
板の繊維方向に平行なのが「木端」、直角(年輪が見える面)なのが「木口」です。

こうやって綺麗に並べてみるとチョコレートみたいでおいしそうに見えてきます。

2009年8月18日火曜日

鍵盤の化粧材


オルガンは白鍵と黒鍵がピアノとは逆の色使いになります。
ややこしいので、以下白鍵と黒鍵をそれぞれナチュラルキー、シャープキーと記述することにします。
シャープキーにはハードメープルを、ナチュラルキーにはアフロモシアという材料を使うことにしました。
もっと明暗のコントラストが強い方がいいのですが、ハードメープルもアフロモシアもストックしてあった材料サンプルから取れたのでこれでいいことにします。サンプルには「アフロモシア・洋桑」と併記してありました。サンプルは良質な材料であることが多く、これらもとても綺麗な材料です。

写真左からハードメープル柾目、アフロモシア柾目、同板目
アフロモシアは柾目と板目で色が全然違いますが、柾目は切削直後、板目は切削されてから10年以上経ています。
柾目の方は色が明るすぎますが、板目の方みたいに黒っぽくなってくることを時間に任せるとしましょう。

アフロモシアはハードメープルより堅い材料でらしいですがテーブルソーで切ったときはハードメープルの方が堅かったです。個体差でしょうか。柄はチークに似ていますが油っぽい感触はなくサクッとしています。
またラワンのように交錯木理(ならい目と逆目が交互に並んでいる)のためカンナ掛けをしてみたらえらいことになりました。
光の反射が縞々な材料は交錯木理と思って間違いないでしょう。

追記 090904
切るのはアフロモシアの方がさっくっと切れましたが、カンナやノミの加工はメープルより堅かったです。

バネ外し工具


オルガンのパレットにバネを取り付けました。
バネホルダーが上に被さるようについているため、一端バネをセットしてしまうと取り外すのが大変です。

そんなわけで簡単なバネ外し工具を作ってみました。
はじめは丸棒に洋折れ金具をねじ込んだだけでしたが、先が太いと使い勝手が悪かったので旋盤で先細りに削ってみました。

2009年8月16日日曜日

ドラムサンダーのメンテナンス


今日はドラムサンダーで赤松を削りました。
この赤松はコーナンで買った建材でほとんど乾燥しておらず、松ヤニ成分がたっぷり含まれている状態でした。
案の定、ドラムサンダーのドラムに巻き付いているサンドペーパーに木粉がこびりついてしまったので天然ゴム製のディスククリーナーを当ててみましたが、完全には取れません。
次に真鍮製のブラシでこすってみましたが、まだ取れません。
次にSUSの堅めのブラシでこすってみましたが、まだ取れません。
最後にテレピン油を含ませてからSUSブラシでこすったら綺麗に取れました。
テレピン油は松脂から作られるので相性がいいのは当然のこと。テレピン油の代わりに灯油などの溶剤でも同じ効果が得られると思います。

2009年8月12日水曜日

ステッヒャー


ステッヒャーは鍵盤の動きをパレットに伝える押し棒です。

材料は4.0φのチークを使いました。
30mmに切ったステッヒャーを本体基板に差し込むと穴によって高さが違っていました。後でわかったことですが、本体基板に開けた穴の木くずが下に落ちてステッヒャーとパレットの革の間に挟まっていたのが原因でした。
一つ一つ長さを調整するのもいいのですが、小さい部品のため番号を打つことが出来ません。いろいろな状況を考慮した結果M2x10mmのサラネジをねじ込むことで長さを調節できるようにしました。
試しに1本作ってみたらうまくいったので材料を買いに行って大量生産を始めると意外と難しいことがわかりました。ステッヒャー4.0φの中心に下穴1.7〜1.8φの穴を開けるのですが、偏ると薄くなったところが割れてしまいました。いくつか失敗をしながら何とか48個出来ました。(買いに行った店で品切れだったためネジがあと1本足りてません)

ステッヒャーを穴に入れてみると数カ所きつい穴があったのでパレットをすべて外してダイヤモンドヤスリで穴を広げました。
本体基板にはランバーコア材を使っていますがコアの木材はファルカタという桐みたいに軽く柔らかい木のため開けた穴がささくれ立っています。これを押さえるためにワックスを塗り込んでみました。乾いたら滑りがよくなることも期待しています。
4φの穴の中にワックスを塗るのは大変です。

2009年8月11日火曜日

革の割付


「パイプ基板と本体基板の接合」で使った革を取るために半頭分の牛の革の割付をしました。以前にちょっと使うのに買って置いておいたものです。左上から右下まで直線で2.8m程あります。

大きい材料から小さいパーツを切り出す場合、どの辺を使うか、どの辺を残せば次に使うときに都合がいいかいつも悩むところですが、今回は次に使うものがわかっているので大きい材料を取った残りで小さいパーツを割り付けすることができます。
かなりシビアな感じだったので革を写真で撮ってCADにその画像を取り込み、縮尺を合わせて割付しました。
ふいご3個分と、「パイプ基板と本体基板の接合」のパッキン、ウィンドチェストの裏蓋のパッキンをぎりぎり割付ることが出来ました。

革製品を扱うプロであればあまり端の方は使いません。端の方はフレアが掛かっていたり、伸びやすかったり、肌が綺麗ではないからです。私はもったいないので端まで使いました。
端の方は実際に切ってみると直線だったのに曲線になったりすることはよくあります。元々立体だった牛の革ですからそうなっても不思議ではありません。少し大きめに荒取りしてから寸法通りにした方がいいのでしょう。

2009年8月10日月曜日

パイプ基板と本体基板の接合


「ポジティーフ・オルガンを作ろう」の連載では本体基板にパイプ基板(及び中間板)を接着しますが、内部が入り組んだ通路状になっているため、何かが詰まったときのこと考えて、分解できるようにします。

まずはパッキン用の革にポンチで穴を開け、本体基板にその革を接着します。革用ボンドは乾くのがかなり早いので全面塗りは出来ないと考え、穴の周りだけを4個ずつ接着していきました。他は接着していないのでゴミなどが挟まらないように気を付けねばなりません。
上からパイプ基板四隅を本体基板にネジ止めし、本体基板裏側の適所からパイプ基板にネジ止めしました。大きい穴が空気の通り道、小さい穴がビス穴です。

機密性のある構造にしたつもりですが、だめだったら接着してしまいます。

追記 090915
機密性は問題ありませんでした。

追記 091201
機密性は問題無いと思ってましたが、間違いでした。後で革をはがして接着することになります。
ふいご(リザーバー)改 重りケース参照

2009年8月7日金曜日

バネホルダー


パレットはバネの力によってカンツェレを塞いでいます。鍵盤を押すと押し棒(ステッヒャーという)がパレットを押し下げカンツェレにウィンドチェスト内の空気が流れ込み、パイプに空気が送られ音が鳴ります。鍵盤を離すとバネの力によってパレットがカンツェレを塞ぎパイプへの空気の流れが遮断され音が止まります。
先に紹介した「パイプオルガンの本」ではこの機構を「ダイレクト・アクション」と説明しています。
バネはピアノ線1.5φを曲げて作ります。結構力がいるのでなかなか大変です。

バネの力を1kgのキッチンスケールで量ってみたら一本が1kgを超えていました。49本あるので少なくとも49kgになります。女性一人分ほどの重さをこのバネホルダーが受けるわけです。ちょっと不安なので補強材30x10mmの木材をやめて鉄のフラットバー32x4.5を使うことにしました。
さび防止のため塗装しようかと考えたのですが、我が家は割と乾燥しているので黒皮(鉄の酸化膜)のままオイルを塗るだけにしました。

とりあえずパレットは両端の2つだけセットしています。

2009年8月6日木曜日

鍵盤仕様変更


鍵盤 その2の失敗が納得いかず鍵盤の中間支点の仕様を変更します。

鍵盤の間隔の調整が微妙なので微調整できる機構にしました。
二股のアジャスターを上部に取り付けるには支点の棒の出が足りず、3.0φの真鍮線にサイズアップしてやり直しました。
鍵盤の図面をプリントしたものを基準に調整していきましょう。

これでいいこれでいい。

2009年8月5日水曜日

パレットの取り付け


パレットの可動する方のガイド(真鍮釘)を打ち込み、パレットを取り付けました。
パレット端の溝幅3.0mmに対して釘2.3φなのでそんなにぶれません。

本体基板はウィンドチェストのフレームに溝を切ってはめ込んでいるだけなので、空気漏れ防止のため、和紙とふ糊で目張りをしました。本体基板は念のため取り外しが出来るようにしています。必要かどうかわかりませんが。

上の溝入の材料はバネホルダーです。

2009年8月4日火曜日

パレット用支点の設置


ウィンドチェストを組み立て、本体基板の裏側にパレットを設置するためのピンを打ち込んでいきます。
写真はパレットの支点となる方で、端が斜めになっている方にはパレットが垂直方向に動くためのガイドピンを打ち込みます。

パレットには赤いフェルトと黒い革を接着してあります。

あらかじめ開けてある2.0φの穴に2.0φの真鍮棒を打ち込みます。
打ち込むと言うより10mm厚の木片に2.2φの穴を開けた簡単治具をガイドに釘打ちポンチで押し込むといった要領です。簡単治具のおかげでまっすぐに、頭が同じ高さになるようにピンの打ち込みが出来ました。
引っかかりなく真鍮棒を押し込むために先端を少し丸めておくのがこつです。